「5つは、ごっつ!」「3つは、さんつ!」
自分のことや考えたことを伝える力って、時代が変わっても大切な力だと思うんですね。でも、言語力とか、国語力とか、どうやって身につければ良いのかなって疑問を持ちませんか?
私は、、あるんです!
自分に対してもそうですし、仕事柄、持つ言葉の数が極端に少ない方もいるんですね。
そういった方をどう理解するのか、どう接するのが良いかなど、思い悩むことが結構あります。
そんなこんなで、我が家でのエピソードをご紹介します。
ピカピカの1年生である息子が、学校で取り組んだ算数のプリントを持ち帰ってきました。薄く書かれた数字を鉛筆でなぞる、数字を書く練習プリントです。
プリントには、「1つ、2つ、3つ」と書かれており、一生懸命はみ出さないように書いた状況が分かります。想像しただけで、目頭が・・
そのときに、息子に何気なく読み方を聞いたんですね。
私:「(「5つ」を指さして)なんて読むの?」
息子:「ごっつ!」
私:「(想像していた答えと違ったことで、ニヤけそうになりましたが、我慢して「3つ」を指さして)そうなんだ、これはなんて読むの?」
息子:「さんつ!」
といった食卓での会話がありました。面白くないですか!?
大人になると当たり前に考えていましたが、改めて考えてみると確かにそう読んじゃうよなと思ってしまいました。
ささいな言い間違いですが、逆に子どもの成長していく過程に触れた感覚もあって、なんだか「発見!」って感じで、とても嬉しい気持ちになってしまいました。
何故そうなるのか知りたくなって調べてみたんです。ちょっと遡って考えてみます。
1歳頃の子どもに「犬」を「ワンワン」と教えたとします。
そうすると、犬を見て「ワンワン」と発語ができるようになります。
ワンワンを覚えたての頃に、走っている車やお気に入りのおもちゃに対して「ワンワン」と言っている光景って、経験ありませんか?
これは先程の息子のエピソード解明にも共通する要因があるんです。
言葉を覚える際に、犬以外の要素、条件を含めた「ワンワン」で覚えてしまうんです。
「ワンワンだね~」「かわいいワンワンだね~」と声かけしていた際に、赤ちゃんは「動いているモノが、ワンワン」と認識してしまうことによって、動くモノすべてを「ワンワン」と学習するんですね。
その後に、親が修正して再学習していくのですが、始まりは、そのモノの条件下を丸ごと認識して「ワンワン」になるということなんです。(ていうか俺の語彙力では説明できない・・ブーメランやて)
私自身も子どもから、指を指されて「ワンワン」と言われたことがあって、そういうことか!と思ったんです。
小学1年生も、その学習プロセスは同じで、条件によって、意味合いや言い方が変わることを、修正しながら学習していくんですね。
言葉の学習プロセス
目が見えない、耳が聞こえないヘレン・ケラーがwaterを知るエピソードでは、手に触れる物体(water)が、waterという言葉で示されていることを理解します。
生きる世界に、それぞれ名前(シンボル)がついていて、それが言葉で示すことができるということを理解するプロセスです。
どうでも良いことと感じるかもしれませんし、七面倒臭いことを言って、マウントを取ってきたと思われたかもしれません。
でも、私は言葉を獲得するプロセスが、とんでもなく複雑な作業であることを知っておく必要があると思うんです。言葉を新たに学習するのは、簡単じゃないんだと。
ベティ・ハートとトッド・リズリーという方々が、幼少期の会話量が語彙力の習得に影響を及ぼす、さらに3歳頃までの語彙学習がその後の学習に影響を及ぼす、という研究結果を出しています。つまり、大人になってからの語彙習得は、幼少期に比べて困難であることを意味します。
言葉に出来ずに暴力や自傷で表現する方と日常的に接していることもあって、成人の方の言語力の向上は、私の仕事の成果に直結する問題なのです。
溜め込んだ感情を手に取るように100%相手に伝える言語力があったら、「分かってもらえない」「分かってくれ!」と、暴力で表現してしまうことはないはずです。
日常生活でも、様々な「ことば」にまつわる出来事が発生しているはずで、見落とさずに、面白がって、すくい上げていくことって、必要だよな~って思った話でした。
参考までにのデータ
(1)語彙獲得
- 12ヶ月: 約2~6語
- 18ヶ月: 約50語
- 24ヶ月: 約200~300語
- 36ヶ月: 約1,000語
(2)文の構造獲得
- 18~24ヶ月: 2語文の形成
- 24~36ヶ月: 基本的な文法構造の獲得、疑問文や否定文の形成
- 36ヶ月以降: 複雑な文構造や時制、関係詞や接続詞の獲得
(3)語形成の過程
- 生後4~6ヶ月: 母音のみの喃語(例: “a”, “o”)
- 生後6~10ヶ月: 母音と子音を組み合わせた喃語(例: “ba”, “ma”)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!