福祉のこと

【精神科初診時】病歴の聞き取りと記録の方法

今日は初診時の面接方法について確認していこう
お医者さんが診察するんじゃないの?
病院にもよるんだけど、診察前にソーシャルワーカーが病歴などを詳しく聞き取る医療機関もあるんだ
医者じゃないのに?
情報の整理を目的とした面接だよ。それに一人ひとりに対して長時間の診察ができないから、ソーシャルワーカーが時間をかけて聴き取ることで、患者さんも安心できるメリットがあると思う
3分診療とか聞きますもんね

病歴の聞き取りと記録の方法

1. 聴取した内容をそのまま記載すれば良い情報というわけではない。
2. たくさん記載すればより良い情報になる訳ではない。
3. 客観的な情報で記載することが望ましい。
4. 時系列に記載する。
5. ○○年前からではなく、「○○年より」と分かりやすくする。
6. 今回の受診で何を期待しているかを明確にする。

病歴の聴取は謎解きのようなもの

現病歴の聴取には、探偵のような謎解きのような面があります。

単に本人や家族の言ったことをそのまま書くのではなく、目の前の人がどんな病気の可能性があるのか、症状等を聞きながら考え、同時に自分が考えている病気の裏付けとなるような症状を聞き出していきます。

そして聞き出した情報を取捨選択してまとめます。

家族や本人の話をそのまま鵜吞みにしない

「○○から物忘れがある」と言っても、その内容は詳しく具体的に聞いてみないとわかりません。

本人や家族側の話す『症状』と医学的な『症状』には乖離があります。

丁寧に聴き取り、その溝を埋めることが大切です。

「夜頻尿なんです」と訴える患者さんが、よくよく話を聞くと寝る前に脳梗塞予防のつもりでお茶を飲み過ぎているだけのこともあります。

「実際に見えないものが見えると言うことはありますか?」と家族に聞くと「ある」と答えても、「そこに○○がいる」等と本当の幻視を訴えている時もあれば、「外に○○さんが来てイラズラしていく」等と被害関係妄想を訴えていることもあります。

病名を推測しながら、聴き取る

病歴は、病名を推測しつつ、いつ頃からどのような症状があって、どんなことができなくなってきたのかを中心にまとめます。

必要な情報を具体的に記載し、余分な情報をできるだけ省くことが必要です。

たとえば、統合失調症の人が「落ち込みます」「やる気が出ません」「不安が強くて」等と訴えることがありますが、病歴に記載する前にその人の主要な症状は何かを考えることが必要です。

妄想や幻聴で不安が出ている場合、不安ではなく、そちらの症状をメインに書く必要があります。

そういではないと、幻覚妄想よりもパニック障害のような病歴になってしまうかもしれません。

もちろん本当に抑うつ状態の時には書くべきです。

また、摂食障害の人の場合、「22歳の頃から食べ吐きしている」と聞いたままを書くのではなく、「22歳頃から毎食後吐くようになり、さらに食パン一斤と弁当2個など夜間コンビニで購入して食べて吐くようになった」のように、摂食障害の参考になる食べ吐きする物や量、頻度など具体的に記載すると役に立ちます。

その記述が、病気の経過や現在の状態を説明するのに必要かどうかを考える癖をつけるために、精神疾患についての知識もある程度必要になります。