目の前の業務に忙殺されて、何のためにクライエントに関わっているかを忘れてしまうことはありませんか?
常に高い意識で臨床の場に居続けることは、非常に難しいことだと感じています。
それでもなお、臨床の場に立ち続けるあなたへの一助になれば幸いです。
心が奮い立つ、先輩方から頂いた言葉や考えを、ご紹介します。
言葉ではない、行動の与えるメッセージ
言葉だけでは伝えきれない、行動そのものが持つ深い意味。
ソーシャルワーカーとしての私たちの役割は、クライエントの言葉と行動を解釈し、その背後にある真実のメッセージを理解することです。
「本人にとっての意味」と「私が考える意味」の違いを捉える
行動は言葉よりも強いメッセージを持っています。
何より、本人にアクセスすることが第一です。
ソーシャルワーカーとしては、言葉だけでなく、クライエントの行動を通して伝わるメッセージを受け取り、その中に含まれる「本人にとっての意味」と「私が考える意味」の違いを捉える必要があります。
本人にとっての空間・場の意味
空間や場は、人にとって深い意味を保有しています。
たとえば、人生の多くの時間を過ごしてきた自宅は安らぎや安全を感じる場所であり、施設はケアを受ける場所。
これらの場が持つ意味や価値を理解することで、より深い対話が可能となります。
物語の中のクライエントとソーシャルワーカー
クライエントは物語の書き手、私たちソーシャルワーカーは編集者の役割を果たします。
私たちの目的は、クライエントの過去、現在、未来を結びつけ、彼ら自身の物語を形成する手助けをすること。
医療者は患者の物語を書き換えることができますが、医療者が代わりに「患者のため」の物語を書いてはいけません。
生きてきた歴史を心にとめる
「存在自体を認めて欲しい」というメッセージは、実際には「私の歴史や経験を理解して欲しい」という深い願いが込められています。
つまり、本人の生きてきた歴史を心にとめることです。
象徴人類学の立場から考えると、言葉だけでなく、行動そのもの、その人が慣れ親しんだ場、モノそのもの。
人間は自ら紡いだ意義の網の中に吊るされた動物であり、文化とはそのような網であり、文化の分析はそれゆえ、法則を探求する実験科学ではなく、意味を探求する解釈科学であると考える
WIKIPEDIA「Symbolic anthropology」より
人生の筋書きが変わっても、受け入れるプロセスに居続ける
ソーシャルワーカーとして、私たちの役割は「クライエントの立場に立ち」、真実の探求を続けること。
これには、自らの立場や価値観を常に意識し、潜在的な偏見を持たないことが必要です。
言葉そのものを受け取るのではなく、その意味まで理解しなければなりません。
人生の筋書きが変わっても、受け入れるプロセスに居続けることが、ソーシャルワーカーなんです。
本人にとっての事実確認をすることが、真実の探求につながります。
クライエントが支援を求めない理由を探る際、彼らが「自分達が頑張るしかないんだ」という感じているプレッシャーや、「支援を受け入れる」という行為の意味を理解すること。
また、手を差し伸べる力がない、それほどに弱者である可能性もある。
本人の力を高めるということは、支援を受け入れる力を養うことでもある。
ソーシャルワーカーの関わるべき領域とは
私たちソーシャルワーカーの立場を明確にすることは、クライエントとの信頼関係を築く上で非常に重要です。
私たちの価値観や考え方を強制するのではなく、クライエントの立場に立って考え、行動することが求められます。
制度にあてがうのがソーシャルワーカーの役割なのですか?
その制度に収まらないものに目を向けていくことが、ソーシャルワーカーの関わるべき領域なのではないでしょうか。
本人に必要なものを創っていくことが求められているんです。
ソーシャルワークの魅力とは何か
・人をその一生を視野に入れて捉える
・弱い状態にある人の人生に関わる―共に少しの幸せを求めて
・人間の尊厳や、誰もがかけがえのないたったひとりの存在であることを教えてくれる
・すべての人間の可能性に対する確信を与えてくれる
・人の温かさが生きる力を生み出すことを学べる
・生きるということ、死ぬということを深く考えさせてくれる
・人と社会の関係を考えさせてくれる
・人と人とのつながりや関係の意味を考えさせてくれる
・自分の有り様が反映する仕事・・“私”を作る(人間としての内的成長)
・「クライエントの立場に立って」・・たゆまない謙虚な学びが必要なことを教えられる
・深く、豊かに、自分らしく生きることへの確かな学びが得られる
・ソーシャルワーカー自身を強くする(ある程度の問題解決能力を備える必要)
・アクション志向を醸成してくれる
出典:I love socialworkの理由 西陣病院山本みどり
まとめ
ソーシャルワーカーとしての役割は、クライエントの言葉や行動を通じて彼らの真の意味やメッセージを解釈すること。
私たちの役割は、彼らの物語を理解し、支援すること。
そのためには、常に自らの立場や価値観を意識し、真実の探求を続ける必要があります。
これは、私が書き留めていた尊敬する先輩方からの言葉で、今までも力を貰ってきましたし、助けられてきました。
きっとタイミングや状況で、受け取る意味合いは変わると思います。
そして、皆さんそれぞれが自分の大事な言葉を持っていると思います。
「明日からまたやってやるぞ!」という気持ちが、少しでも沸き起こることを祈って。