医療観察法の目的
平成17年7月15日施行
この法律は、心神喪失等の状態で重大な他害行為(他人に害を及ぼす行為をいう。以下同じ。)を行った者に対し、その適切な処遇を決定するための手続等を定めることにより、継続的かつ適切な医療並びにその確保のために必要な観察及び指導を行うことによって、その病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、もってその社会復帰を促進することを目的とする。(第1条1項)
医療観察法の対象者
重大な他害行為を行い、
①心神喪失者又は心神耗弱者と認められて不起訴処分となった者
②心神喪失を理由として無罪の裁判が確定した者
③心神耗弱を理由として刑を減刑する旨の裁判が確定した者(実刑は除く)
対象者の状況
精神障害 + 重大な他害行為 = 二重のハンディキャップ
手厚い医療と地域ケアを一体的に確保し、病状を改善させる
保護観察と医療観察の違い
保護観察 | 医療観察 | |
対象 | 少年・成人 | (少年)・成人 |
行為 | 犯罪全般
※刑事責任能力あり or 限定的 |
重大な他害行為
(殺人・放火・強盗・強制性交等・強制わいせつ・障害) ※刑事責任能力なし or 限定的 |
目的 | 社会の保護
個人および公共の福祉の増進 |
社会復帰の促進 |
ターゲット | 犯罪性 | 精神障害 |
関係者 | 保護司
更生保護女性会 協力雇用主 保護観察官
|
病院
地方公共団体 保健所 障害福祉サービス事業所 社会復帰調整官 |
医療観察法による医療の要件
対象行為を行った際の精神障害を改善し、同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するため、医療観察法による医療を受けさせる必要があるか。
~3つの評価軸~
①疾病性
対象行為の原因となった精神障害と同様の精神障害を有しているか
②治療反応性
その精神障害が治療可能なものであるか
③社会復帰要因
社会復帰の妨げとなる同様の行為を行う具体的・現実的可能性があるか
医療観察法制度の視点
①医療観察法制度の処遇は、犯罪者処遇ではない。
②「触法精神障害者」と医療観察法制度の対象者はイコールではない。
③本人やご家族を、精神保健福祉法、障害者総合支援法など既存の制度と本制度で支える。
対象者は障害福祉サービスのユーザーであるという視点をもって、社会復帰の促進を図る。